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私(山田)の職業は行政書士です
中小企業挑戦支援法(資本金特例制度が主な内容)が先年施行されて以来、会社設立を扱うのが中心業務となりました。
でも、2003年で私が依頼されて作った会社は「確認有限会社」のみで「確認株式会社」はありませんでした。
ところが2004年に入ってから、「確認株式会社」設立の依頼が舞い込みました。
「こりゃ珍しいね」
そう言えば、商法改正でこれまで実質強制されてなかった決算公告義務が過料100万円以下の罰則付きで強制適用されたことを思い出しました。
その旨をきっちり、クライアントに説明しないといけないと思いましたが、果たして、決算公告はどうやってすればいいのか、恥ずかしながらわかりません。
ただ、知識として、通常、「官報」又は「日刊紙」に決算公告をすればいいこと程度は知っていました。
このうち日刊紙への掲載は小規模株式会社への費用負担を考えると現実的ではないので除外して、
取り敢えず「官報」というキーワードで、「官報に掲載する方法」見つようとMSNサーチで検索したところ、無事に見つかったのですが、ちょっと驚いてしまいました。
「高い・・・こんなちっぽけな決算公告(2枠)で59,126円、少し大きい決算公告(3枠)になると88,689円・・・」(唖然)
「こりゃ、ちょっとひどいや」
びっくりした山田
(注:右の写真はあくまでイメージです!) |
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ご存知の通り、法人税は一括払い(但し、予定納税有り)です。しかも法人税を滞納すると政府関係の金融機関の融資が受けられなくなります。小会社にとっては大きな負担です。その上、同時期に官報掲載費用まで負担しろというのでしょうか?実質的な増税といってもよいでしょう・・・。資金繰りコンサルタントとしての側面を持つ私は頭を抱えました。
取り敢えず、決算公告にお金が必要なのは理解しましたが、どうも納得できません。そこで、法務省のHPでこの商法改正が行われた経緯を調べて、依頼人に決算公告をしなければならなくなったことを説明してあげようと考えました。
そこで時間を掛けて法務省のHPを調べていると、
「む、インターネットで決算公告してもOK!?官報(又は日刊紙)じゃなくてもいいの!?」
面倒がらずに少しの疑問でも、わだかまりを感じたらすぐに調べてみるものですね!折角のインターネット社会、有用に利用しないといけません。
<参考文献>
株券不発行制度及び電子公告制度の導入に関する要綱中間試案(詳しく知りたい方は参照してください)
すかさず、商法283条第5項の規定を思い出し、確認したところ。確かに「電磁的方法」と定められていました。恥ずかしながら見過ごしていました。
「ふむふむ、なるほど。官報(又は日刊紙)への掲載料は高くつくので、代替的な方法を認めると・・・。うん、理に適(かな)っている。しかもインターネットで財務情報を開示するのはむしろ社会の要請じゃないかな?」
この制度は素晴らしいと感じました。
普通の人は企業の決算公告を見ようとして、「官報」を調べませんし、「官報」には沢山の情報がありすぎて、見るだけで頭が痛くなってしまいます。
でも!インターネットで閲覧できれば、その手間がかかりません!
確かに企業にとっては財務情報を開示するのは、いろいろと問題があるかもしれません。でも、結局それを積極的に行うことがその企業の利害関係者からの信頼を勝ち取ることになり、より多くの恩恵が得られるというのが今の融資・助成金制度の基本です(参考として「金融検査マニュアル」を調べてみるとよろしいでしょう。今の金融制度について理解できると思います)。
今の時代は、結局隠すと逆に損をするようにできているのです。
ところで、このときふと疑問が生じました。
何故、「官報」というキーワードで検索しても、「官報に掲載しなくても済む方法」が出てこないのだろう?
どうして、インターネットで決算公告できることがMSNサーチですぐに調べられないのだろう?
もしかして、この制度は知名度が低いのかな?
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当事務所は、お客様の個人情報の漏洩に細心の注意を払うため、お客様の記入するページには全てSSL(暗号化処置)を導入しております。 |
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では、インターネットで決算公告を行うにはどうすればよいのでしょうか?
<参考文献>
株券不発行制度及び電子公告制度の導入に関する要綱中間試案の補足説明PDF形式(詳しく知りたい方は参照してください)
「なるほど!登記簿に決算公告を行うURLを掲載することで利害関係者に周知させるのか」
となると、登記をしないといけないですね。
調べてみたところ、
具体的な方法は取締役会決議をし議事録を作成し、その中でURLを記載し、登記申請書を作成して法務局に提出すればよいとのことでした。
さて、問題となるのは新設会社の場合です。
どうせだったら、財務情報の開示は初めから定款に記載した方が、はっきりしていてよいように思えました。
そうと決まったら、早速、定款の作成に入りましょう。
「むー、書式例が存在しない・・・」
やっぱりこの制度には新しすぎるのか、巷に書式例が存在しません。
仕方ないので、横浜地方法務局に相談に行きました。
「えー、はっきり言うと、あなたが初めてです。私たちも見てみたいと思っていました。失礼ですが、書式例を作成してもらえれば、こちらの職員で検討して可か不可か決定させていただきたいと思います」との旨の返答を担当官から頂きました。
やむなし!
ともかくやるべし!
早速定款の書式の作成に入り、2案を次の日に完成させて提出しました。
結果は両案とも条件付でOKでした。
その後、上大岡公証役場に行き、いつもの公証人殿に定款を見せたところ、「噂は聞いたことが有るけど、見るのは初めてだから確認するけど、これでOKだって?」との質問を受けましたので「OKだそうです」、「じゃ、OK」という了承を得、無事にその会社は経済産業省の創業者確認の後、決算公告をインターネットで行う旨の登記を済ませ、設立しました。
新設会社では横浜初のケースだったかもしれませんね。
この瞬間、インターネットにおける決算公告制度の最前線に私は立ったようです。
どれだけの経営者がこの制度について知っているのだろう?それが私の疑問でした。
最前線からの手紙へ
(次回は、決算Webを始めるに当たって考えたことや、決算公告に信憑性を付与する新しい試みについて述べてみたいと思います)
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