Web決算公告最前線
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 今回の訪問で得た回答を元に、私たち、決算Webはこのサイトで国税庁に以下の提案を致します。

 確かに、前述の関西経団連の主張通り、今回の法改正は小会社にとって負担が増すのは事実です。

 しかし、国税庁が租税面で協力してくれるなら、少なくとも費用面ではフォローすることが可能です。
 具体的には、この決算公告制度が小会社にもきっちり適用されれば、税務署に法人税の申告をする際、問題となっていた「株主総会の承認を受けた決算書」と「税務署に提出する決算書」との第一段階での検証可能性が出てくるはずです。
 すなわち、本来、「税務署に提出する決算書」は「株主総会の承認を受けた決算書」を基に作成されるはずですが、申告納税制度の下、その検証は税務調査しなければできなかったはずです。

 そこで、国税庁は決算公告で財務諸表を継続して自主開示する企業に対しては、「青色申告制度」のような租税面での優遇措置を与えるべきだと考えます。

 それであれば、企業も積極的に財務情報を開示するので、利害関係者に対して透明性を確保するとともに、国税庁も税務調査による負担を減らせるので、行政のスリム化に貢献できるはずです。

 そして、その優遇措置は、株式会社に限定せず、有限会社、合名・合資会社にも国税庁の方から財務諸表の継続開示を条件に、行う旨を表明すれば、有限、合名・合資会社も決算公告を積極的に利用することになる可能性があるので利害関係者の保護に貢献できるはずです。

 国税庁も、この電子決算公告制度が一層、推進されるよう協力すべきです。


 

 平成16年5月28日、私たち法務省を訪れた4名は、その日都合で来ることができなかった藤井先生の了承を得て、連名で次の質問書を先日訪問した、「法務省民事局参事官室」に送付させていただきました。

  行政書士4名からの決算公告に対する質問書PDF形式(興味のある方は参照してみてください)


 

 平成16年6月1日、待望の法務省民事局参事官室よりお電話を頂き、質問の回答を得ました。
 
【質問1−1】
 決算公告を罰則規定まで設けて実施させる意義を教えてください。
<回答>
 株式会社の場合には、構成員は有限責任で、かつ、その(株主)社員も同じく有限責任で、会社債権者に対してまったく弁済の責を負っていない。そのため、会社債権者を保護して会社の信用を維持するということのために財務情報を開示する決算公告が必要であるという理由に尽きる。

【質問1−2】
 また、罰則規定まで定められているのであれば、今後どのように周知徹底させていく方策を考えておられるのか教えてください。
<回答>
 現在、明文規定で書いているものの、これをどのように周知徹底させていくかという問題に対しては難しい問題である。
 今、法制審議会にて会社法を抜本的に改正する動きがあり、平成17年の国会あたりに法案を提出しようと考えているが、改正商法のPRを含めて周知させようと考えている。
 従って、現段階では決算公告だけについて周知徹底させようとは考えていない。

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【質問2−1】
 何故、有限会社、合資・合名会社に適用しないのですか?
<回答>
 合資・合名会社については、最低1人の無限責任社員がいることをもって会社債権者保護は足りていると判断する。
 有限会社は確かに全員有限責任なので、難しい問題であるが、有限会社はそもそも名称に有限という文字がつくこと、また社員の上限が50名に限定されているなど、株式会社とは異なる特性等があるとの様々な理由があり、今のところ決算公告は義務付けていないが、この問題については昔からの複雑な経緯があるので、今の段階では正確な理由付けを行うことができない。

【質問2−2】
 有限会社、合資・合名会社迄適用するならば、現存する休眠会社やペーパーカンパニーなどを整理する、或いは防止することが可能になると思われますが、その点についてはどのようにお考えなのでしょうか?
<回答>
 現在、株式会社については取締役の任期が法定されているので、その登記の有無を以って休眠会社の整理をしている。決算公告は登記事項ではないので、登記の有無をもって整理を行っている現状においては決算公告の有無を以って休眠会社の整理という制度に結びつけるということは行っていない。すなわち、有限会社についても決算公告は登記事項でないことは同様であるから、決算公告の有無を以って休眠会社の整理という制度に結び付けて考えていない。

【質問3】
 決算公告で開示する計算書類について正式に確認したいのでご協力お願いします。
「株券不発行制度及び電子公告制度導入に関する中間試案」の第2編、第1,2において商法特例法上の大会社では貸借対照表及び損益計算書、それ以外は、貸借対照表とありますが、他の試案に対する補足説明では、単に、「貸借対照表等」とされていて、不安を覚えました。商法特例法上の大会社でない場合、開示する計算書類は「貸借対照表」だけでよろしいのですね?そしてそれは「貸借対照表の要旨」ではありませんね?
<回答>
 電磁的に開示する場合、要旨ということは一切認められない。だから小会社については貸借対照表全文を開示する。

      ---------  続く  ----------


       
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(次回は、残り4つの質問事項対する回答の掲載と、と法務省に対する提案を行いたいと思います。ご期待ください。)
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